ディープフェイクとは、高度なプログラム技術を駆使して作られる、本物そっくりな偽物の画像や動画のことを指します。
もう少し具体的に説明すると、数年前に主に若者の間で流行った『SNOW』や、『Reface』といったジョークアプリで出来る、顔交換のことです。
ただし、ジョークアプリと言ってもそのクオリティは社会問題になるほど。
良くも悪くも誰でも使える高度な技術『ディープフェイク』。
その可能性と危険性に満ちた技術はどう生かすべきなのか。
- ディープフェイクとは
- ディープフェイクの可能性とは
- ディープフェイクの危険性と事例
- ディープフェイクのポジティブな活用事例
- ディープフェイク動画の作り方
- ディープフェイクに騙されない対策として
- ディープフェイクとの付き合い方を考える
ディープフェイクとは
ディープフェイク(deepfake)は元を辿れば、AI技術を駆使して、2つの素材(映像や画像)の一部分を混ぜ合わせ、元の素材とは異なる動画や画像を制作する技術です。
巷で認識されているディープフェイクはフェイク動画、偽動画などを指し、実際の映像や音声、画像の一部を細工して、あたかもそれが本物のように見せて、相手をだます技術として認知されつつあります。
その偽物の映像や画像加工技術『ディープフェイク』が、社会的に大きな問題を引き起こしているのは、『顔の入れ替え』です。
百聞は一見に如かず。以下の動画はディープフェイクを簡単に説明しています。
ディープフェイクの可能性とは
肖像権のない架空の人物を作り出すことができる
ディープフェイクの一つとして、実際には存在しない架空の人間の顔を作り出すことができる「顔の生成」技術があります。
この世界には存在しない架空の人物なので、より本物に近いゲームやアニメのキャラクター生成、人件費のかからない架空の広告モデルなど、産業的な応用としても期待されています。
顔の入れ替えにより映像作品の幅が広がるが・・・
たとえば普通はスタントマンがやるようなアクションシーンでも、ディープフェイクを使い、あたかも有名俳優が危険なアクションシーンをやっているように見せかけることができます。
そういった映像作品やクリエイティブな現場で利用されることが期待される一方で、高度なディープフェイク技術が、犯罪証拠動画の捏造、ポルノ映像の作成などで悪用されているのも事実です。
2020年には『ポルノ女優の顔を女性タレントに差し替え、その動画を公開した』として、日本でも名誉毀損・著作権法違反で逮捕者が出ています。
また、こういった問題は世界中にあることは言うまでもありません。
顔の特徴の変更や表情の操作
これも主に映像制作においての利用が期待されるものです。
髪型や年齢、性別、顔のパーツなどを変更することができるため、SF映画などで特殊メイクを行う必要がなくなることも考えられます。
また、身近な例として、表情の操作が可能なので、あなたが毎日行っているZOOMでのミーティングもあなたのアバターを代わりに出席させるなんてことも可能になります。
ディープフェイクの危険性と事例
他人の印象操作
ディープフェイクを使えば芸能人や政界人など、影響力を持つ人の言葉として、映像であらゆるものを生成できることになるでしょう。
2021年に実際にあったのは、地震の直後に会見を行う加藤官房長官の画像が改ざんされてネット上に拡散されてしまったことです。
以下のニュースがまさにその事例です。
地震直後の会見で笑う加藤氏の偽画像、ツイッター社に削除依頼…政府「看過できない」 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン
ネットのように拡散スピードが速いと、情報を正す間もなく大勢の人に不正確な情報与えかねません。
それを悪用して、他人の印象操作を行う動画を演出することなどに使われています。
フェイクポルノ
女性芸能人がアダルトビデオに出ているように見せかける「『ディープフェイクポルノ』動画の被害も深刻化しています。
また、ポルノ女優の顔に一般の方の顔を合成することで、あたかもアダルトビデオに出演しているような映像が作られることも。
これはリベンジポルノに使われるおそれがあり、なおかつスマホなどで簡単に作れてしまう可能性が高いので、ネットに顔を公開している一般の方も安全ではありません。規制が必要なのは明白です。
画像だけでなく音声のディープフェイクによる詐欺も発生
こういった合成技術を使えば、まるで本人と疑いようもない音声を作り出すことも可能です。
イギリスでは経営者の偽の音声指示に従い、大金をだまし取られるという詐欺事件も発生しています。
このような音声のディープフェイクによる詐欺事件は、日本でも発生する可能性が大いにあります。
いくら怪しい指示内容(例えば振り込め詐欺)だとしても、本人の声だったらそれが本物と信じてしまうのは何ら不思議なことではありません。
ディープフェイクのポジティブな活用事例
ディープフェイクのポジティブな可能性と、ネガティブな危険性を先述しました。
もちろんこの技術は当初は人の生活を豊かにするものとして開発されたのは間違いありません。
そのポジティブな事例を紹介します。
著作権フリーで使える人物画像サイト『GENERATED PHOTOS』
『GENERATED PHOTOS』は人物画像を無料ダウンロードできるサービスで、二つの利用方法があります。
200万人から目的に合う顔を探す『Browse Photos』
『Browse Photos』とはすでに作成された200万人の顔の中から、
- 人種
- 性別
- 年齢
- 目の色
- 肌の色
- 髪の色
- 髪の長さ
- 感情
- 顔の向き
以上を指定し選択できるサービスです。
実際の画像がこちらです↓
無料の会員登録をすればダウンロードも可能です。
表示された画像を自分の好みに加工する『Generate a photo』
『Generate a photo』は『Browse Photos』と違い、ランダムで表示された画像を自分で加工ができるサービスです。
- 性別
- 顔の向き
- 年齢
- 感情
などを調整可能。
これらの画像は肖像権がないので、承諾が必要なく、自分の好みに合わせて調整して利用が可能となります。
あなたも映画に出演できる?『reface』
『reface(リフェイス)』は自分の顔を有名アーティストのMVや、映画のワンシーンの俳優と入れ替えることができる面白ジョークアプリです。
トレンディエンジェルの斎藤さんも以前インスタで取り上げていました。
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ディープフェイク動画の作り方
パソコンを使ったディープフェイク動画の作り方をはじめ、スマホでも作る方法が詳しく紹介されていますので、興味ある方は下記サイトを参考ください。
ディープフェイクに騙されない対策として
ディープフェイクはあなたの生活のなかに当たり前に存在する未来はそう遠くないはず。
いまこそ、心得ておかないといけないことを考えましょう。
ディープフェイクの拡散はSNSがメインとなります。その情報は正しいのか?
全ての情報を鵜吞みにせず、情報ソース(情報の発信源)を疑う習慣をつけましょう。
すこしでもおかしいと思ったら不用意に拡散などはしないことです。
それが被害を最小限にとどめる方法のひとつです。拡散しただけでも罪に問われる場合もあることも覚えておきましょう。
ディープフェイクとの付き合い方を考える
ディープフェイクは身近にある技術ですが、それは必ずしも有益とは限りません。
さらに、まだ歴史の浅い技術ですので今後どのような問題が出てくるのかは予想が付きません。
逆もまたしかり。
実際に映像制作の場において大いに活用されていますし、これから先様々な分野に使われることは間違いないでしょう。